エラグ酸とは?ザクロやベリーに宿る“色と香り”のポリフェノール
'25.07.01※本記事は、食品成分としてのエラグ酸について一般的な情報をまとめたものです。疾病の診断・治療・予防を目的とした内容ではありません。
1. エラグ酸はどんな成分?
エラグ酸(Ellagic acid)は、植物に自然に存在するポリフェノールの一種です。多くの場合、〈エラジタンニン〉という大きな分子の一部として果実や木の皮に含まれており、収穫や加工の過程でエラグ酸が遊離してきます。植物が自らを守るために蓄えてきた色素・香味成分の一つで、果実特有の深い赤色や渋みを形づくる要素としても知られています。
2. エラグ酸を含む代表的な食品
- ザクロ(果汁・果皮)
- ベリー類(イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、クランベリー など)
- ブドウ(特に種子や果皮)
- ナッツ類(くるみ など)
- その他の果実(パイナップル、ヤマモモ など)
とりわけザクロやブラックベリーには比較的高濃度のエラグ酸が検出されることが報告されています。
3. “研究が進むフィトケミカル”としての注目ポイント
国内外の基礎研究では、エラグ酸を含むポリフェノールについて、食経験の長さや物質の安定性に着目したさまざまな試験が行われています。
健康目的で摂取する場合は、あくまで“栄養素のバリエーションを増やす”という位置づけで考えると良いでしょう。
フィトケミカルとは、植物が外敵から身を守ったり、自らを美しく見せたりするために作る色素や香気成分、苦味成分の総称として注目されています。
1.色
例)トマトの赤いリコピン、かぼちゃのオレンジ色β-カロテン
→ 植物が光を吸収・反射するための“天然の色素”
2.香り
例)ハーブやスパイスに含まれるテルペン類
→ 虫や動物を遠ざける天然アロマ
3.渋み・苦み
例)カカオのポリフェノール、緑茶のカテキン
→ 食べられ過ぎを防ぐ“自己防衛”要素
色の濃い食材ほど多彩なフィトケミカルを含む傾向があるため、
「サラダに紫キャベツを足す」「果物をデザートに加える」など、食材の“色数”を増やすと自然に種類を摂取しやすくなります。
特定の成分にこだわるより、旬の野菜や果物をバランスよく食べる姿勢がシンプルで現実的です。
フィトケミカル=「植物が身につけた天然カラー&アロマ成分」
4. 毎日の食卓で楽しむコツ
- 旬の果実を丸ごと味わう — イチゴやラズベリーをヨーグルトにトッピングして手軽に色と香りをプラス。
- 100 %果汁をアレンジ — 濃縮還元ではなくストレートタイプのザクロジュースを炭酸で割ってリフレッシュドリンクに。
- ナッツをおやつ代わりに — 無塩のくるみを小袋で常備し、間食やサラダのアクセントに。
- 冷凍ベリーをストック — 通年入手できる冷凍ミックスベリーは、スムージーやグラノーラに便利。
“色が濃い果物ほどポリフェノールが豊富”という目安を覚えておくと、買い物のときに役立ちます。
5. 安全性と摂取時のポイント
- 食経験が長い — イチゴやザクロなど、古くから世界各地で食べられてきた果実に含まれます。
- 過剰摂取は避ける — ポリフェノールは多種多様な食品に分散して摂ることが望ましく、特定成分に偏る必要はありません。
- サプリメント利用時は表示を確認 — 機能性表示食品の場合でも、「届出表示」が自身の目的に合っているかをチェックし、服薬中の方は医師・薬剤師へ相談を。
まとめ
エラグ酸は、日常の食卓で親しみやすいベリー類やザクロに含まれるポリフェノールです。渋みや深い色合いを生む“植物のチカラ”の一部を、旬のフルーツやナッツを通じておいしく楽しむ——それが、シンプルかつ魅力的な付き合い方と言えるでしょう。
色鮮やかな食材を取り入れて、日々の食事をより豊かに彩ってみてください。
