MCTオイルとは?特徴と選び方をわかりやすく解説

MCTオイルとは

健康食品売り場やインターネット通販で、MCTオイルという商品を目にする機会が増えました。名前は知っているけれど、普通の油と何が違うのかはよくわからない。そう感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、MCTオイルがどのような油なのか、どう使えばよいのかを、基本から整理してご説明します。

中鎖脂肪酸とは何か

MCTとは「Medium Chain Triglyceride」の略で、日本語では中鎖脂肪酸油と呼ばれます。

脂肪酸は、分子の炭素がつながった鎖のような構造を持っています。この鎖の長さによって、短鎖・中鎖・長鎖に分類されます。炭素数がおよそ8個から12個のものが中鎖脂肪酸にあたり、MCTオイルはこの中鎖脂肪酸だけを取り出して精製した油です。

中鎖脂肪酸には、炭素数8個のカプリル酸(C8)、炭素数10個のカプリン酸(C10)などがあります。商品によって、どの脂肪酸をどの割合で含むかは異なります。

一般的な食用油との違い

サラダ油やオリーブオイルなど、日常的に使われている食用油の多くは長鎖脂肪酸を主成分としています。炭素数が12個より多いものが長鎖脂肪酸にあたります。

つまりMCTオイルと一般的な食用油の違いは、脂肪酸の鎖の長さにあります。この構造の違いが、体内での扱われ方の違いにつながっています。

具体的な違いについては、次の章で詳しくご説明します。

ココナッツオイルとの関係

MCTオイルの原料としてよく使われるのが、ココナッツやパームヤシです。そのため、ココナッツオイルと混同されることがあります。

ただし、この2つは別のものです。ココナッツオイルにも中鎖脂肪酸は含まれていますが、その割合はおよそ6割程度とされ、残りは長鎖脂肪酸です。一方でMCTオイルは、中鎖脂肪酸を100パーセントまで高めて精製しています。

また、ココナッツオイルは常温で固まりやすく、独特の香りがあります。MCTオイルは常温でも液体を保ち、香りはほとんどありません。用途も使い勝手も異なる油だとお考えください。

MCTオイルの特徴

消化吸収の経路が異なる

MCTオイルが注目される理由のひとつが、体内での吸収経路です。

長鎖脂肪酸は、小腸で吸収された後にリンパ管を通り、血流に乗って全身をめぐってから肝臓に到達します。これに対して中鎖脂肪酸は、小腸から門脈という血管を通って直接肝臓へ運ばれます。

経路が短いぶん、長鎖脂肪酸に比べて速やかに処理されるという性質があります。この違いが、MCTオイルが一般的な食用油とは別の扱いを受ける理由です。

エネルギー源として使われやすい性質

肝臓に運ばれた中鎖脂肪酸は、分解されてエネルギーとして利用されます。この過程が長鎖脂肪酸よりも速いとされることから、エネルギー源として使われやすい油だと説明されることが多くあります。

なお、MCTオイルは油ですので、カロリーは他の食用油と大きく変わりません。1グラムあたりおよそ9キロカロリーです。普段の食事に追加すれば、その分のカロリーは加算されます。この点は誤解が生じやすいところですので、押さえておいてください。

無味無臭で料理に使いやすい

MCTオイルは精製された油のため、味や香りがほとんどありません。

これは実用面での大きな利点です。コーヒーやスープに加えても、もとの風味を損ないません。ココナッツオイルのように香りが主張しないので、料理の種類を選ばずに使えます。

油特有のべたつきも少なく、さらりとした質感です。はじめて使う方でも抵抗を感じにくいでしょう。

MCTオイルの使い方

飲み物に加える

もっとも手軽なのが、飲み物に加える方法です。

コーヒー、紅茶、スープ、スムージーなど、温かいものでも冷たいものでも使えます。小さじ1杯程度を加えて、よく混ぜてからお召し上がりください。

油ですので、そのままでは液体の表面に浮きます。気になる場合はミキサーで撹拌すると、なじみやすくなります。

料理にかける

できあがった料理にそのままかける使い方も一般的です。

サラダのドレッシングに混ぜる、納豆や味噌汁に加える、ヨーグルトにかけるなど、用途は幅広くあります。味に影響しないので、和食にも洋食にも合わせられます。

加熱調理には向かない理由

ここは必ず押さえていただきたい点です。MCTオイルは加熱調理には使えません。

MCTオイルは発煙点が低く、一般的な食用油に比べて低い温度で煙が出はじめます。炒め物や揚げ物に使うと、煙が発生したり、泡立ったりする原因になります。場合によっては引火の危険もあります。

そのため、MCTオイルは加熱せずにそのまま使うのが基本です。温かい飲み物や、できあがった料理にかける程度であれば問題ありません。フライパンや鍋で直接加熱する用途には使わないでください。

MCTオイルを選ぶときのポイント

原料で選ぶ

MCTオイルの原料は、主にココナッツとパームヤシです。

ココナッツ由来を明記している商品もあれば、パーム由来のもの、両方を使用しているものもあります。成分としての差は大きくありませんが、原料の産地や栽培方法にこだわりたい方は、表示を確認するとよいでしょう。

価格はパーム由来のものがやや安価な傾向にあります。

C8とC10の含有比率を確認する

商品選びで実質的な差が出るのが、脂肪酸の構成比です。

前述のとおり、中鎖脂肪酸にはC8(カプリル酸)とC10(カプリン酸)などがあります。商品によって、C8を100パーセントとしたもの、C8とC10を6対4程度で配合したものなど、構成はさまざまです。

一般にC8の比率が高いものほど価格も高くなります。表示を見比べる際は、単に「MCT100パーセント」という表記だけでなく、その内訳が書かれているかどうかを確認すると、商品の違いが見えてきます。

容器の形状と使いやすさ

毎日使うものですので、容器の使いやすさも見落とせません。

注ぎ口が広いものは量の調整が難しく、こぼれやすい場合があります。少量ずつ使うのであれば、細口のものやプッシュ式のものが便利です。

容量も、使用頻度に合わせて選んでください。大容量は割安ですが、開封後は酸化が進みますので、使い切れる量を選ぶ方が結果的に無駄がありません。

MCTオイルを使うときの注意点

少量から始める

はじめて使う方に、もっともお伝えしたい点です。

MCTオイルは、慣れないうちに多量を摂ると、おなかがゆるくなったり、腹痛が起きたりすることがあります。体質や体調によって個人差がありますので、最初から多く摂るのは避けてください。

目安としては、小さじ1杯程度から始めて、様子を見ながら調整するのが安心です。体に合わないと感じた場合は、使用を中止してください。

1日の摂取量の目安

製品によって推奨量は異なりますので、まずは商品パッケージの表示に従ってください。

一般的には、1日あたり大さじ1杯から2杯程度を目安としている商品が多く見られます。一度にまとめて摂るよりも、数回に分けて摂る方が負担が少ないとされています。

油であることに変わりはありませんので、摂れば摂るほどよいというものではありません。適量を守ってお使いください。

容器の材質に注意する

意外と知られていないのが、容器の材質の問題です。

MCTオイルには、ポリスチレン製の容器を溶かす性質があります。発泡スチロールのカップや、一部のプラスチック製カップ、使い捨てのコップなどが該当します。

コーヒーに加えて飲む場合などは、陶器やガラス、ステンレス製の容器を使ってください。テイクアウトのカップにそのまま加えるのは避けた方が安全です。

まとめ

MCTオイルは、中鎖脂肪酸だけを取り出して精製した油です。一般的な食用油とは体内での吸収経路が異なり、無味無臭で使いやすいという特徴があります。

使い方の基本は、加熱せずにそのまま加えること。飲み物や料理にかけて使います。選ぶ際はC8とC10の構成比を確認すると、商品ごとの違いが見えてきます。

はじめて使う場合は、少量から始めてください。体質に合わない場合もありますので、無理なくご自身のペースで取り入れていただければと思います。

なお、持病をお持ちの方や治療中の方、妊娠中の方は、医師や薬剤師にご相談のうえでご利用ください。